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4-4水質
(1)水温
水温の評価方法として、毎時の水温を日別に集めて日平均値と標準偏差(σ)を求めた。また、5日間の移動平均として平滑化した。これによれば1984年の場合1月から6月中旬まで「かなり低温」の状態が継続した年(Fig-7)と、1979年の「かなり高温」の年(Fig-8)があった。海洋生物が繁殖する重要な時期に低温が継続していることは少なからず生物に何らかの影響を与えたものと推察される。本解析からは定量的、定性的に明らかにできなかった。また、深さ方向における水温変化の違いを見てみると、高温年、低温年ともに表層から下層までの変化の傾向は良く似ていることが分かった。

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Fig-1 Deviation from the 5 days running mean of water temperature in 1984. (Upper, middle and lower layer)

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(2)濁り
濁りは下層が最も高く3〜6度(カオリン)の値を持っている。5月〜9月の成層期に高くなる傾向があり、12月〜1月に最も低い値を示した。また、表層の濁りは3月〜5月と8月〜9月に極大値を示した。これは増殖するプランクトンの影響によるものであることが分かった。一方、下層の濁りは流れに支配されている。

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Fig-8 Deviation from the 5 days running mean of water temperature in 1979. (Upper, middle and lower layer)

5. 結果の整理

5-1海藻の分布特性
(1)出現した海藻の種類から空港島における藻類の生育環境は、内湾性(東側護岸)と外洋性(西側護岸)の両面を持ち合わせている。このことば空港島の位置が太平洋から瀬戸内海に通じる大きな海水の通り道に面していることを示唆している。
(2)生物資源の生産・供給、水質浄化、酸素の供給の場として重要な機能を果たすガラモ場は1995年級で13haに達していて、大阪湾の貴重な藻場として生物の再生産に寄与するものと考える。
(3)護岸に着生する海藻に着目すれば傾斜護岸が有利であることか分かった。
5-2魚介類の出現特性
(1)空港島護岸に出現した魚介類の行動生産を見れば空港島建設以前の砂泥域に生息していなかった多くの有用な魚介類が蝟集してきている。また、このことば空港島は水産上重要な役割を果たしているものと考える。
(2)魚介類の護岸の利用形産を見れば産卵場・幼稚仔の保育場、隠れ場として利用していることが確認されている。また、高次の栄養段階である岩礁性の魚介類の種類が周年棲みついて、餌料となる小型生物も多く観察され

 

 

 

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